「泉田行夫の『蜘蛛の糸』」朗読と解説(14)

 単調にならないための工夫のもうひとつについてお話しします。

 泉田行夫は、「句点だからといってプツプツ切りすぎない」と解説しています。

 もうひとつ、ここで申し上げたいことは、どの文章にも、句点、つまり、点を打っているところがございますね。これを読む場合には、内容が続いている場合なら、続けて読んでいく方が、聞いていて、よくわかる、ということです。句点のたびに、いちいち切る人がいますね。ぶつぶつ切れては、聞く人の頭に内容がまとまってはいりません。ちょっと、句点どおりに切って読む例をやってみましょうか? 「池の中に咲いているはすの花は」、「みんな玉のように真っ白で」、「その真ん中にある金色のずいからは」、「なんとも言えない良いにおいが」、「絶え間なくあたりへあふれております」。いかがですか。
 それから、ただ、続けると言っても、のっぺらぼうに続けるのではなくて、ちょっと変化をつけて続けますと、解りやすいですね。たとえば、「池の中に咲いているはすの花は、みんな、玉のように真っ白で」。こういった風に続けていく訳です。
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 読むリズムと、書く時のリズムは一致しないことがあります。普段の会話のイントネーションを意識して、聞いている人がよくわかるような切り方を工夫してみてください。