「泉田行夫の『蜘蛛の糸』」朗読と解説(9)

 今回は、鼻音です。
 泉田行夫は、こう解説しています。

 次は、鼻音です。鼻の音と書きますが、がぎぐげご、でなく、がぎぐげご、と鼻を通して出す音です。においが、の「が」、地獄の「ご」、うごめいての「ご」などです。がぎぐげごの上に、「ン」をつけて言う感じです。「が」「ぎ」「ぐ」「げ」「ご」。この無声化と鼻音は、日本語の発音として、美しいということで、標準語の発音に取り入れられていますが、気をつけて何度も練習していると、できるようになるものです。

 註)本来鼻濁音の「が」は「か」に濁点の代わりに丸をつける(「ぱ」のように)ことになっていますが、このインターネットでは、特殊文字が表示できないので、「が」と表現しています。

 ちなみに、濁音が鼻濁音になる規則は、田代晃二著「美しい日本語の発音発音―アクセントと表現― 創元社」( P.34 )によると、
  ①ガ行音が<語中・語尾>にくれば鼻濁音となる
  ②語頭では鼻音化しない(合成漢語の後続部分の語頭も)
  ③擬声・擬態語は明瞭をたてまえとして語頭はもちろん語中も鼻音化しない。
  ④数詞も明瞭をたてまえとする純数詞は鼻音化しない。ただし数観念の弱い場合は鼻音化する。
  ⑤外来語は原則として鼻音化しない。古くからなじまれたもので鼻音化している語もある。

とありました。