「セリフの読みのむずかしさ」や「<間>の問題」についてのべてきましたが、けっきょく、「朗読するまでにどれだけ深く読み込むか」が何よりも重要であるということだと思います。
この点に関しては、私の父・泉田行夫(俳優・ナレーター・朗読家)も次のように書き残しています。
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朗読するまでの正統な手順
1.まず、黙読によって朗読材料となる文章の意味内容や情調を充分理解する。
2.朗読するという立場に立って微音読し、意味や情調の理解を深めると共に材料の言いまわしに欠陥があったら修正する。
3.発声発音を正しくし、同時に内容や情調にふさわしい表出法を工夫する。(口ならし読み)(練習よみ)
4.指導者や仲間から指導や助言を受ける機会があれば、ためしに読みあげてテストしてもらう。(ためし読み)(テストよみ)
5.テストを受けて自信をつけた後、さらに一段とくふうして聞き手にむかって朗読をする。(これが本当の朗読)
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テキストを見て、すぐに声を出して読むのではなく、まず、心の中で何度も読んでみて、声に出したくなるまで待つことがポイントのようです。