幸田弘子先生の朗読された「詩」を鑑賞します。
萩原朔太郎の「竹」です。
これは、2017年6月4日、藤沢におけるプライベートな会での録音です。
竹
萩原朔太郎
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。
かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。
(詩集「月に吠える」より)