詩の鑑賞(7)「竹」萩原朔太郎

 幸田弘子先生の朗読された「詩」を鑑賞します。 

 萩原朔太郎の「竹」です。
 これは、2017年6月4日、藤沢におけるプライベートな会での録音です。

 

   萩原朔太郎

光る地面に竹が生え、
青竹が生え、

光る地面に竹が生え、
青竹が生え、

地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。

かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。

  (詩集「月に吠える」より)