幸田弘子先生の朗読された「詩」を鑑賞します。
シャルル・ボードレールの「アホウドリ」です。
これは、2019年6月27日、目白における会での録音(雑音等処理)です。
アホウドリ
シャルル・ボードレール
船乗りはしばし なぐさみごとに
生け捕るよ 大きな海鳥 アホウドリを
こいつは海路の 呑気な相棒
深い淵の上 すべりゆく船につきまとう
こいつもひとたび甲板に降りれば
青空の王者なりしが 今やヘマで ノロマで
白い大きな翼 ダラリと垂らして
オールのように 左右にひきずる
この翼ある旅人 なんと不ざまで愚図なこと!
あのかがやく美しさが 今はみにくく 滑稽で!
キセルの端で くちばしを突つかれ
飛べないさまを ばたばたと真似されたり!
詩人は似ている この雲の上の王子に──
嵐の空を行きかうときは 弓矢をあざけるものの
ひとたび地上に舞い降りれば 罵声に囲まれ
‥‥‥大きな白い翼も 歩く邪魔になるばかりなり
※ ※ ※
ここからは余談です。
シャルル=ピエール・ボードレール(Charles-Pierre Baudelaire)
ボードレールは詩という文学空間の可能性を最も早い時期に提示した詩人であり、彼の後に続くランボー、ヴェルレーヌ、そしてマラルメらに決定的な影響を与えたことから「近代詩の父」と称される。
1863年(ナダール撮影)
(出典:Wikipedia)