今回は、無声化です。
泉田行夫は、「蜘蛛の糸」の朗読と解説の中で、こう述べています。
それから無声化です。「ございます」の「す」、「蓮池の淵を」の「ふ」、「ひとりで」の「ひ」、などが無声化と言われている、声にしない音です。東京の人などの話す言葉が、歯切れよく聞こえるというのは、この無声化のせいなんです。声にして言いますと、こうなりますよ。ございます、はすいけのふちを、ひとりで、どうも歯切れよく聞こえませんねえ。
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「無声化」、気を付けて発音したいことは言うまでもありません。もっとも、何の苦労もなくできている人もいます。
さて、「無声化」について、もう少し研究を進めてみましょう。
無声化になる場合とならない場合、そして、無声化によってアクセントの位置が変わる場合、です。
これについては前述の田代晃二先生の本(美しい日本語の発音―アクセントと表現― p.36 – P.38 )に詳しく書かれています。
無声化が起こるのは
【i】【u】が無声子音(k、s、t、h)に挟まれているとき。
(pも無声化子音に含まれるという人もいます)
また、「【i】【u】が無声子音の後で、語句の終わりの無声化」もあります。
(https://www.hamasensei.com/museika/)
もっと詳しく解説しておられる方もいらっしゃいます。
http://sanaeshinohara.blog8.fc2.com/blog-entry-9.html
次に、無声化によってアクセントの位置が変わる現象です。
以下、田代晃二先生の著書(前述)からの引用です。
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無声化とアクセント
無声化した母音は響きが弱く、そこへはアクセント核を置きにくい。置いたつもりでも響かないので、位置が1音だけ逆のぼったり、次へずれたりする現象が起きる。この“ずれ”は特に形容詞や動詞の活用アクセントに関連して重要である。
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複雑ですねえ。個人的に、迷ってしまう例を挙げてみました。
さて、今回の無声化は、とても私の手に負えないので、この辺にしておきます。