今回も、朗読における日本語アクセントの研究の続きです。
前回は、「日本語の単語の一語一語にアクセントがあるのですが、文章の中では、なめらかに続けられる」ということをお話ししました。今回は、その「なめらか」ということを、別の文献から研究してみます。
田代晃二先生の著書「美しい日本語の発音―アクセントと表現―」の中では、こんな図を使って説明されています。
また、2009年にNHKラジオで放送された「NHKアナウンサーとともに ことばアップ」という番組のテキストには、次のような記述がありました。(p.112 「イントネーションの基本」安川宗親)
アクセントは、一つ一つのことばについて決まっている音の高低の配置のことでした。
しかし、実際に話をしたり、文章を声に出して読んだりするときに、個々のことばのアクセントは多少変化します。それに加えて、話しことばのセンテンス(文)にもアクセントとは別の、音の高低変化があります。これを一般にイントネーションと言います。
アクセントは文の中で消える?
個々のことばを共通語のアクセントどおりにして話したら、どういうことになるでしょうか。
「白い花が咲いています」
この文を、文節ごとに明確なアクセントで読むと、文字を覚えたての子どもが音読するように幼くきこえます(図1)。
次に、この文を普通に会話するようなつもりで声に出してみると、「シロイ」のアクセントは明瞭です。しかし、「ハナ」以降は、「ガ」のところで少し音が下がりますが、文の音調が徐々に低くなっていって、アクセント自体は高低差が少なく、きわめて不明瞭になっていることに気がつきます。
この現象は、話し手の頭の中からアクセント感覚がなくなったのでなく、イントネーションに伴う現象なのです(図2)。
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同じ本の次のページに「アナウンサーは(下記の文章を使って)毎日イントネーションの練習をしてる」といったことが書いてありました。みなさんも試されてはいかがでしょう。